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初めてのロストバ◯◯◯

Text by Masu Masuyama 文・写真:マスヤマコム

旅にトラブルはつきもの。笑い話で済むレベルのものもあるし、危険な事故に近いものだってあるだろう。日本に居ると、あたり前に享受している「便利さ」や「正確さ」が、実は海外ではほとんど期待できない、というのは少しでも海外に出たことがある人なら同意していただけるだろう。

ドラマな日々

8月末、かけ足でスペインに行ってきた。目的はひと月後にあるショートムービーの撮影のロケハン、である。目的地はバルセロナなのだが、日本からの直行便はマドリッド行きしか無いので、まずはマドリッドで1泊。翌日、空港に行き、時間があったので軽く食事することにした。カウンターに立派な生ハムの切り出す前の状態(何て言うのだろう?要は「豚のモモから足の部分」だ)をいくつも置いた店があったので、座ってみる。

生ハム(ハモン)を含めて、4品の注文をすると生ハムとミネラルウォーター以外の2品はすぐに出てきた。のどが渇いてきたので、ミネラルウォーターを催促。出てきた。しかし、生ハムが出てこない…。搭乗の時間も迫ってきたので「あぁこれがスペインだ…」と自分を納得させながら、英語があまり通じないサービスのオバちゃんに「チェックしてください。でも生ハム来なかったから、それはキャンセルで!」と強く言いつつ席を立とうとすると、たまたま私の右隣り居たオッちゃんが、私の前に自分が食べている生ハムの皿を差し出し「食べなよ」とジェスチャーで言ってきた!かなり賑やかなオープンスペース作りの店で、私は彼の逆側を向いてオバちゃんに「キャンセル」と言っていたのに、よく聞こえてるもんだな、と思いつつ、嬉しいサプライズに感謝して、一切れだけつまませてもらった。

バルセロナの空港に着いて、バゲッジクレームで荷物を待つ。なかなか出てこない…。今までの人生で、荷物をチェックインして飛行機に乗ったことは、数百回あると思うのだが、バゲッジが出てこなかったことは1度も無い。バゲッジが何らか理由で「ロスト」する確率は、2016年の統計で0.65%。計算すると約150回に1回だから、確率的には正しい?いやいや…などと時間をつぶしていても出てこない…。同じ飛行機に乗っていた乗客が十数人、私と同じように「やれやれ…」という顔をして荷物の出てこないベルトを見つめている。ついにターンテーブルは止まり、空港の職員がピックアップされなかった荷物を集め始めた。

私もあきらめて、バゲッジ関連サービスと書かれた窓口の長い列に並んだ。実は、乗ってきた飛行機は4時間遅れており、すでに23時を回っている…。ロストバゲッジ。私には初めてでも、窓口の職員にとっては日常だ。事務的に連絡先などを告げ、書類を受け取り「通常、明日にはお届けします」という言葉に少しだけ救われる。

スーツケースを持たず、トボトボと出口に向かいながら「万が一」と思い、自分の荷物が出てくるはずだったターンテーブルを見ると、遠くの方に数個、荷物が放置されている。さっき荷物が出てくるのが止まった後、次の便の荷物が出てくるくらいの時間は経っている。どうせ違うだろう、と諸行無常な気分で近づくと、1つめ、2つめ、3つめ…あった!!生ハムといい、バゲッジといい「トラブルの後の救済」という典型的なドラマを、毎日のように体験させてくれる。さすがダリやピカソを生んだお国柄…(これは皮肉ではない)。


前向きなあきらめ

バルセロナでは、泊まっていたAirbnbのエレベータがちょうどチェックアウト時に止まり、7階から手持ちで26kgの荷物を降ろさなければならない…という問題があった他は(その後、数日は筋肉痛)まぁまぁ順調にコトは進み、帰国する日になった。バルセロナから日本へは、北へ向かう方が距離的には近いのだが、スペイン往復の直行便を選んだため、いったん南へ、マドリッドまで国内便に乗らなければならない。通常は国内便から国際便でも、乗り継ぎの空港で荷物は航空会社が載せ替えてくれるのだが、チェックイン時に「これは(国内便と国際便の)予約が別々だから、マドリッドでいったん荷物をピックアップして、再度ドロップしてください」と言われた。めんどうだが、仕方がない。幸い、ターミナル間の移動は無いようなので、少し手間がかかるだけだ。乗り継ぎ時間は2時間近くある。

ゲートから搭乗までもスムース。予定より10分くらいは遅めだが、これくらいは普通のことだ。しかし、搭乗してからまったく動かず、アナウンスも無い。中央に1つしか通路が無い小さい飛行機で、私は前から5番目くらいの列に座っていたので、よく見えたのだが、いったん閉じていた機外へのドアが再び開けられ、蛍光色の作業着を来た技術職員らしい男性が複数乗ってきて、コックピットへと消えた。

10分経っても20分経っても、まったく進まない…。アナウンスも無い。機内の男性CAが、何人かの乗客にスペイン語で話しかけている。私はスペイン語はわからないので「荷物をピックアップする時間が…」とイライラしつつも、どうすることもできない。30分、40分…ついに1時間経ってしまった。最悪の場合は、マドリッドの空港で1泊か?!などと思いつつ、まだ待っていると、男性CAが英語で話しかけてきた

「東京に行かれるんですよね?」

「そうです」

「これはお客様が選択されることですが…荷物を受け取って再度載せる時間が無さそうです。荷物は、そのままにして、お客様は東京行きの搭乗ゲートに向かわれるのがベストかと思われます」

「え?!あ…はぁ」

私自身も、当然、そういう選択肢も考えなくはなかったが、どうしても「自分の荷物をあきらめて、空港に放置する」という行為のイメージがわきにくく、荷物を優先して空港に1泊?とと思っていたのだ。まさか、航空会社側から「それ」を勧められるとは…。

結局、マドリッドには1時間以上遅れて到着。私以上に困った顔の「メキシコ行き乗り継ぎ」の乗客は、降りたとたんに走り始めた。私は、荷物さえ無ければ、そこまであわてる必要も無いので、東京行きのゲートに向かう。機内で言われたとおり、ゲートの職員に「バルセロナからの便から、東京行きに、荷物を載せ替えてもらえないだろうか?」と一応打診してみたものの「無理ですね」と一言。

成田には定刻に着き、ターンテーブルで航空会社の職員にバゲッジのタグを見せつつ状況を説明すると、さすが日本、大変恐縮しながら手続きを進め、税関にも一緒に来てくれた。考えてみれば、1週間のヨーロッパ旅行から戻ってきて、背中のバックパックひとつ、というのもかなり怪しい。バゲッジには急いで必要なものは何も無く、都内の自宅に戻れば、当然、生活に必要なものはそろっているので、まぁ無事に帰って来られたからよかった、無料でバゲッジ届けてもらえるのは、ある意味ラッキー…などと思いつつ、成田エクスプレスに乗った。

それにしても、人生「初めてのロストバゲッジ」が「自主的なロストバゲッジ」になるとは、想像もできなかった…。

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本文は以上ですが、ツカサくん、マドリッドの信号は「LGBT仕様」になってました!

ちなみに、バゲッジが自宅に着いたのは、帰国後4日め。早いのか遅いのか、よくわかりません 笑。

目黒はカリブ海にあり

Text by Masu Masuyama 文:マスヤマコム

「死ぬまでに、一度(あるいはもう一度)行ってみたい場所は、どこですか?」

このテーマを軸に企画、編集された旅の本や写真集、Webサイトなどが、ここ数年、ブームから定番になりつつあると言っていいほどの広がりを見せていることもあり、いわゆる旅行好きでなくても、頭のどこかにある質問かもしれない。

ハワイ、ニューヨーク、パリ、モン・サン・ミッシェル、ウユニ塩湖、絶景ポイント…etc.。写真や動画では、逆に見飽きているような場所でも、実際に行ったことがある場所というのは、かなり限られているものだ。「行きたい場所は、特にありません」という答えは、達観したように聞こえなくも無いが、マンガや映画、アニメや小説という「物語」の世界を少しでも楽しむことができる人は「ここではないどこか」に行きたい願望がゼロだとは言えないと思う。もちろん、そこには実在しない場所や時間軸の違う「どこか」も含まれるが。

ここでは「実在する場所」に限ってみよう。国内外を問わず、自分が定住しているエリア以外で、ある程度の時間とおカネがあれば行けるところ(この時代、宇宙!という人が居るかも…)。その中で「一度は行ってみたい場所」をイメージしてみることは、アームチェアトラベラーの究極の楽しみではないだろうか。私の場合、そのひとつが「バハマ」だった。その理由は、あるレコーディング・スタジオの存在である。

バハマの中森明菜

「コンパス・ポイント・スタジオ」。70年~80年代のポップ・ミュージックが好きな人であれば、聞いたことがある名前かもしれない。そこでレコーディングされた楽曲から、私の好きな曲を並べてみよう。

Third World – “96 Degrees in The Shade”

Talking Heads – “Thank You For Sending Me An Angel”

The B-52’s – “Rock Lobster”

Roxy Music – “More Than This”

私は、FMラジオで番組をやっている(企画・構成・出演)仕事がらもあり「自分の好きな曲」については日常的に(しかも深く)考えている。そして上に挙げた4曲(あるいは4枚のアルバム)は、シンプルに「ムチャクチャ好きな」楽曲たちなのだ。もちろん、スタジオが名曲を生み出すわけではない。アビイ・ロードで録ればビートルズではないし(当たり前 笑)、ストーンズのモービル・スタジオで録れば…(以下略)。それを大前提にするにしても、コンパス・ポイント・スタジオで作られたレコードには、少なくとも私にとっては至上の名盤が多い。

素晴らしい楽曲が生まれるかどうか…音楽レーベル、プロデューサー、ミュージシャン、エンジニアなどの力量やセンスは当然として、リリースされるタイミングもかなり大事な要素だと思う。前者が「人の和」、後者が「天の時」だとすれば、スタジオは「地の利」になるだろうか?コンパス・ポイント・スタジオの「利」を求めて、古くは1979年に加藤和彦が、80年代には中森明菜や南野陽子といった歌謡曲勢も、90年代には吉田拓郎も、バハマまで飛んでレコーディングをしている。

しかし「カリブ海にあるバハマ諸島」といっても、その正確な位置や行き方、社会状況などをググらずに答えられる人は稀だろう。私も、今回、初めて行ってみるまで「NYから3時間」で行けるほど近いとは知らなかったし、行ってみてようやくピンと来た「実感」も少なくない。

バハマの目黒

まず、単純に言うと「ビーチリゾート」である。直行便ならNYから3時間、アトランタからなら、なんと2時間で着いてしまう。白い砂浜と青い海、充実したホテル群、カジノもある。さらに、ハワイよりはるかに広いエリアに、なんと700以上もの島しょ郡がある(人が住むのは30程度)。英連邦の加盟国なので、イギリス的な英語が使われ、マナーやドレスコードもアメリカよりきびしく、クルマは左側通行、君主はエリザベス女王である。

サラッと書いてしまったが、「アメリカ」と言っても、NYやカリフォルニア、ハワイくらい。中南米もざっくりと「スペイン/ポルトガル語圏」としてしかイメージしていなかった私にとっては「カリブ海にイギリス(的な場所)があった」というのは、軽いカルチャーショックでさえあった。イギリス的であることの意外な側面を強烈に体験したのは、1泊めの夜だった。ホテルのレストランはバカ高い割に大したことはない(推測)ので、口コミサイトで評判がいいスペイン料理の店に向かうことにした。沖縄本島とほぼ同じ緯度に位置するバハマだが、夜には気温27−28度程度。真夏の東京よりは、よほど快適である。ホテルの正面口から、タクシーを呼んでもらう。クルマはホンダ、右ハンドルで、運転手はガタイのいいアフリカ系のオバちゃん、服装もピンクで派手、トークも陽気である。ここまではいい。オバちゃんが言い始めた。

運「このクルマは日本のクルマなのよ。日本のクルマいいわよね。ところであんた、日本から来てるなら、日本語わかるでしょ?」

私「うん、わかるよ」

運「じゃあさ、ちょっと私のラジオ直してくんない?日本語でしか出てこないからわかりゃしない!」

私「え?何?壊れてるの?(意味がわかっていない)」

運「そうじゃないのよ、今、停車するから、アンタ助手席に来て、見てみてよ」

私「??(停車して助手席に乗り込む…)え?このカーナビ、なんで現在位置が『目黒』になってんの?!これって、東京の俺んちの超近所なんだけど!?」

運「だから言ってるじゃない、日本語しか出てこないのよ!ラジオ聴けるかしら?」

私「(だんだん状況がわかってくる)このクルマ、カーナビだけじゃなくて、いろんな表記がみんな日本語だ!日本の車検のシールまで貼ってある、笑。そっか、これ中古車を輸入して、そのまま使ってるんだ!笑」

運「何ゴチャゴチャ言ってるのよ、ラジオ聴けないの?」

私「これ、日本国内仕様のカーナビ(ラジオ含む)だから無理だと思うよ…。それにしても、よりによってカリブ海の真ん中で『目黒』って、なんかSF映画にでも入り込んだ気分だよ(この間、私ずっと笑)」


要は日本の中古車は、右ハンドルなので、世界では数少ない「左側通行」に向いており、バハマのような英連邦の国では人気なのだ。実際、日本中古車輸出業協同組合の統計を見てみると、2016年には約120万台の中古車が、日本から海外に輸出されており、輸出先のトップ30にはニュージーランド、ケニア、マレーシアなど左側通行の国が多い。バハマも29位に入っていて、年間6,000台以上の日本車が輸入されている。その後、別のタクシーに乗ったときも、同じような日本語表記の中古車だったから、それなりに人気なのだろう。人口比で計算してみたところ、日本国内の新車(国産車)は、1年に日本の人口の約5%に売れているのに対し、バハマでは人口の約2.5%に日本中古車が売れている計算になる。

(物価が高い以外は、ほぼ)完璧なビーチリゾートに来て、日本の中古車輸出状況を知るために電卓を叩くとは、まったく予想をしていなかったが、旅のおもしろさは「セレンディピティ」(良い意味での偶然の出会い)にあり、というのが私の持論である。これでまた、私のSRD(Serendipity)ポイントが(多分)5上がったと思う。死ぬ前に、来られてよかった。

2018年8月某日 文・写真 マスヤマコム


本文は↑まで、なんですが、このエッセイというか文章は、東京ベースの私(マスヤマコム/投資家・コンテンツP)、NY(トロント)ベースの近藤司さん(コンドウ・ツカサ/脚本家)、パリベースの世川祐多さん(セガワ・ユウタ/パリ第七大学博士課程日本近世史専攻)のリレー形式で続く予定なので、次の書き手に向けて、ちょっとパスを出しておきます。

ツカサくん、

遅くなりました。原稿はこんな感じです。少し前にチャットでこのページ(ゲイにとって旅行しやすい国かどうかのランキング。上位がしやすい国)のことを聞きましたが…

あれは軽い前フリでした。バハマは約200カ国中の121位で、まぁぶっちゃけかなり下の方ですね。上に書いた「コンパスポイント・スタジオ」は2010年にクローズしているんですが、その理由はWikipediaによれば下記です。

“The Nassau studio was closed in 2010 due to the Bahamas changing political and social positions; homophobia as a main point. Many of the artists from around the world who record at Compass Point were being placed in a more and more threatening and dangerous environment.”

これに触れても触れなくても、どちらでもかまいませんが、「伝説の」レコーディング・スタジオの閉鎖理由が、(まぁ経済的なこともあるんでしょうが)これ、というのは、軽いショックでした。では、近いうちにNYで。

マスヤマ

 

Masu Hiroshi Masuyama

桝山寛(マスヤマ・ヒロシ)/ラジオ等では「マスヤマコム」名義/Masu H. Masuyama in English
個人投資家/コンテンツ・プロデューサー

主な仕事:不動産投資(東京、NY、LA、ハワイ、シドニー)、金融商品投資、スタートアップ投資(スマートニュース社など)、エンタテインメント投資(アニメ映画『この世界の片隅に』(日本アカデミー賞受賞)、NYミュージカル『Trip of Love』など)。ラジオ番組、Inter FM 897『music is music』企画・構成・出演。Corneliusのサウンド・プログラマー美島豊明との音楽ユニット『mishmash*』では3枚のCDを発表している。

非営利団体、一般社団法人MAM、代表理事。慶大教授の大和田俊之をコーディネイターとする音楽レクチャー・シリーズ。NY在住のジャズ作曲家挾間美帆の新作CD。NYの非営利団体ジャパン・ソサイエティの映画祭『Japan Cuts』。NY医科大のガン研究。〜などへの助成を行っている。

mim レクチャー #04 冨田ラボさん・資料集

冨田ラボ「録音された音楽作品の聴き方」
70年代~現代の録音作品から聴こえていること+聴き手への作用の分析、考察
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使用ソングリスト解説

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1.mim_Lecture_1_1968

本論である70年代以降に入る前に、ポップス録音としては重要である60年代にも触れておくことにしました。ポップス(ロック)、ブラック・ミュージック、ブラジル、アフリカ、そしてジャズを68年作品に限定して連続再生しました←5秒~10数秒単位。60年代を本論から省いた理由、抜粋を68年作品に限定した理由も説明しました。

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2.mim_Lecture_2_Al_Jarreau

まず76年リリース「Rainbow In Your Eyes」を分析しました。ジャズ・シンガー → ポップ・シンガー への変遷を考察しました。80年リリース『This Time』より「Never Givin’ Up」を分析、ポップス作品としての完成度の理由を考察しました。

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3.mim_Lecture_3_SD

書籍「ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法」に関連する小ネタから始めました。楽曲分析としては「The Goodbye Look」を補足しました。冒頭採用された当時最新鋭のデジタル・シンセのデモ演奏を動画で確認しました。曲中盤での定位への厳格なこだわりに言及し、別曲の例として「Black Cow」のI~A前半を解説しました。Cセクション締めの(構造的にたいへん重要な)ヴォーカル・フレーズが2コーラス目では歌われず、ギターにより演奏されるという特徴的、効果的な手法について、楽曲を通じてギターがサブ・メロディとして機能しているという観点を追加して論じました。

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4.mim_Lecture_4_Earth_Michael_Lo-Fi

Eart Wind & Fireの80年リリース『Faces』を題材に、エンジニアリング、オーディオという観点を中心に論じました。一曲目「Let Me Talk」を中心に、マスタリング4種も聴き比べました。

ジョージ・マッセンバーグのエンジニアリングについて言及する際、Tubes『Outside Inside』から2曲のさわりを再生しました。補足しますと『Outside Inside』のミックスはウンベルト・ガティーカが中心(D・Foster_Pro作品)ですが、再生した2曲(もしかしたら+あと1曲)のみマッセンバーグ・ミックスです。リアルタイム初聴時、情報なしでその2曲に圧倒的なクオリティを感じました。

Michael Jackson『Off The Wall』を駆け足で分析、考察しました。ブルース・スウェディンについてももっと言及する予定でしたが、ここで時間切れ。

この項ではエンジニアリングという観点から80~90~00~10年代という変遷を解説することを予定していました。ヒップホップ、Lo-Fiという概念、質感というワードの登場、メインとオルタナティヴという図式の崩壊、すべてが並走するイメージなどをプレイリストを聴きながら考察する予定でした。

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5.mim_Lecture_5_00~10’s

ここでは近年の作品について解説する予定でした。現代ジャズ、ブラック・ミュージック、リズム~ドラミングといった項目が予定されていました。

URL表にあるように、動画も絡めた考察が多くなったと予想されます。Tank and The Bangas とNo Name について、前者のパフォーマンスの素晴らしさと、しかしその良さを表現できている音源の不在(近年リリース作がない)、後者の音源の素晴らしさ(しかも無料というソーシャル・エクスペリメント周辺の手法)と、パフォーマンスから感じられる質感の乖離について考察する予定でした。

リズム~ドラミングについては、訛りとメトリックモジュレイションを動画で解りやすく解説する予定でした。

マシン・ドラム、サンプル由来の訛りの源流を体験するため、該当するビートを含むプレイリストを項目_1の68年リストのように数秒単位で抜粋再生する予定でした。

参考URL

タンク アンド ザ バンガス

ノーネイム

アンダーソンパック

 

ロナルドブルーナー

 

ジュリアナ

 

トニー

cheis dave

Vinnie

Daniel Lanois opera

ホセ ジェイムズ スペイヴン

ハイエイタスカイヨーテ

DSK Synerzy

Elvis Presley, the classic in the 20th century.

Original Japanese text by Eiichi Ohtaki

Elvis Presley, the classic in the 20th century. 

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Elvis Changed the Music Industry Single-Handedly.

In the era of jazz music, before rock emerged, singers, as well as instrument players, were required to be able to read music scores. Pioneers of Japanese pop music such as Ichiro Fujiyama and Noriko Awaya graduated from music school. Even Enoken, who was also a popular comedian, could read scores.

For young generations, the emergence of Elvis not only freed music from music scores but also defied other conventions. People had never heard anyone sing like him before.

Pat Boone was Elvis’s rival at that time. Taking over the singing styles of Bing Crosby and Frank Sinatra, Boone was more like a “model student,” while Elvis’s music was considered for “bad boys” as he would shake his body and bounce around the stage, performing.

People were shocked when they first heard Hound Dog (1956). They thought shouting at the audience was uncivil, let alone starting a song by doing so, and it was definitely one of the don’ts they had regarding singing.

We can’t say all of his unique singing techniques were his inventions, but the style of singing in songs like All Shook Up (1957) was entirely his original.

 

In Japan, All Shook Up is considered a song for those who “understand” Elvis. In this song, you can find the miraculous combination of sexiness, humor, and drive along with his signature shouts in perfect balance.

The song title was translated to “Shaken by Love” in Japanese, which was fairly moderate compared to its quite explicit original English title. People ridiculed and criticized Elvis, calling him Pelvis. While the song and his singing style were quite shocking to many, a sense of humor is also there throughout. Once you recognize that, it’s actually a very humorous song. That’s why All Shook Up is an amazingly innovative song.

Elvis invented this technique of singing about being sexy boldly yet humorously and at the same time appearing perfectly cool. All Shook Up has everything Elvis was; mature and childish, masculine and feminine, strong and soft, excited and calm. All these seemingly contradicting qualities coexisted in him and made him attractive.

Contrary to the majority’s expectation, old school crooner Pat Boone disappeared and maverick Elvis Presley stayed. The music industry was now fundamentally changed. Elvis turned his originality into a classic.

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Interview Cont’d

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———“If you had to categorize fermented food, what would you base it on? What would be the key player here?”

Okay, that’d be hishio, which is the starter of soy sauce and miso. You put together mame koji (bean koji) and mugi koji (wheat koji) in 1:1 ratio, and add soy sauce and water and leave the mixture to ferment.
(Fermentation cuisine has categories that are)
Tasting fermented seasonings with decomposing abilities, such as hishio.
Marinating in fermented seasonings and eating. This is for vegetables, sashimi, and the such.
Marinating in fermented seasonings and grilling. Meat and fish are often eaten this way.
Marinating in fermented seasonings and cooking it in soup. Fish ara (head and bony parts of fish) and the such can be used for this.
Marinating in fermented seasonings and frying.
And (even if you don’t marinate,) if you use real fermented seasonings in your cooking such as soy sauce, miso, mirin, vinegar, and sake from legitimate storehouses, that counts as fermented food I guess.

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———“If you had to categorize them now based on what you marinate your food in, what would that be like?”

Even the mixture of peanut butter and hishio can be used as a pickling bed. That means there can be tens of millions of variations. The two things I use the most as a pickling bed at my restaurant are hishio and amazake. Of course, I use soy sauce, sake, and mirin as seasonings, but as pickling beds, probably hishio is the best. It has a quite high ability to break down ingredients. Also the proportion of glutamine acid to inosinic acid is very high, which is a major difference from miso. You can be sure that your final products always have more glutamic acids than inocinic acids. Food tastes better that way, and you can preserve it longer.

Decomposition by koji involves many factors such as salt, heat, microorganisms, adding water, and pressure. Japanese koji’s ability to break down reaches far beyond what heat can do. Rice porridge, for example, is made of rice and water just like amazake, but no matter how long you cook it, it doesn’t gain sweetness on its own. With koji mold in it, however, it will turn into amazake and become sweet.

As starches get broken down into smaller molecules, they eventually become glucose, which is their smallest form. The food won’t have the sweetness until this stage, and you can’t reach that with heat alone. When you let koji do its work with ingredients before you cook them, whether with hishio, miso, soy sauce, or amazake, it will give you flavors unattainable in any other way.  Take fish ara for example; without koji you can cook it in the soup for 100 hours and still not have the great flavor. That’s one of the great things about fermentation.

 

 

Interview Cont’d

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———“That must have been a quite challenging change in your career. “

You’re right. And I had to study on my own. I still learn new information every month. Now I have much better estimates of various aspects of cooking than before.  My cooking is much more precise now that I can control umami elements with the appropriate temperature, oxygen, acidity, and alcohol percentage.  Although, since fermentation is about living things, it doesn’t always go smoothly as planned.

There were so many questions I had had for a long time as a cook.  I would ask my master chef and he would say, “I don’t know. It’s always been this way.” For example, I’ve had this master chef who always let his ponzu sauce sit in the room temperature for a year before using it. Chefs in Tohoku area usually store their miso in the room temperature. They say that it’s been always known that the refrigerator makes miso taste bad. When mackerel is not fresh enough to be eaten raw, they use it for vinegared mackerel. The same thing with kelp-wrapped sea bream. All these why’s were answered as I studied about fermentation and microorganisms. It was like a light bulb shooting sparks over my head all the time. Every question I had had for twenty years was answered.

 

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——— “When people didn’t have refrigerators they dried their food or marinated it in salt, alcohol, or oil to prevent decay. Maybe that is related to fermentation, too?”

It is related because decay is a kind of fermentation. Dried food has the highest preserving capacity. If you marinate in acidic liquid (e.g. vinegar) it gives food better preservation because putrid bacteria don’t like acidity, so they don’t go into food.

E coli. O157 is different. It’s a bacterium that can go into acidic environments.  For bacteria, being in oil is like being in outer space, they can live there but can do nothing, which leads to better preservation.  Microorganisms cannot live when the salt level is higher than that in their natural habitats, so marinating in salt also leads to better preservation. There is a certain order for microorganisms to function in liquid. First, nitrate-reducing bacteria are activated, followed by koji, then plant-based lactic acid bacteria, and finally yeast; now it’s become alcohol. Plant-based lactic acid bacteria are highly acidic, so when there is sugar it keeps creating acid, reducing the liquid’s pH and making it acidic. This makes it impossible for putrid bacteria to enter. Thus, you can have better preservation. Alcohol is the same. In alcohol, microorganisms cannot move at all. So when the alcohol content is 10% to 15% and above, microorganisms die. This shows there is an intricate power balance between bacteria.

So before, I just knew formulas and their outcomes but didn’t know why the formulas work. Now that I’ve studied about fermentation, I know why they work, too. I feel like I’m substantiating Japanese cuisine.

 

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———“Can you tell us a little bit about dashi?”

For dashi, whether you use hard or soft water makes a huge difference.

If you’re in the Kansai area the water is soft, and with that you can make dashi really fast. In Kanto or Tohoku, however, the water is hard, and you will need more than double the time just to make kelp dashi. In Milan it even takes a lot longer.  We say we “take” dashi, but what it actually is is extracting umami from dried food through heat breakdown. There is no other way to get umami than taking time. Within Japan, we have two different philosophies regarding glutamine acid (umami) between the Kansai area and the Kanto and Tohoku areas. People don’t want their dashi dark in Kansai, but in Kanto and Tohoku, they like dark dashi.

———“Some food-science savvy people may think of the Maillard reaction (browning reaction) when they see food darkening. Can you tell us about the Maillard reaction please?”

It is a chemical reaction between amino acids and sugar. Amino acids themselves are dark brown, and when this color becomes prominent on the surface, it’s called  the Maillard reaction. A good example is when banana skins turn dark and eventually black. With bananas, however, it’s only the skin that becomes black. The inside never becomes black but does become brown because of the oxidation of polyphenol. The Maillard reaction can be seen in coffee, too. When you get your toast burned, it’s showing the final stage of the Maillard reaction accelerated by heat. When you grill regular salted salmon and miso-covered salmon, the miso covered one gets burned much more easily. It’s because amino acids are on the surface taking the heat. That’s why in the summer, miso and soy sauce change color suddenly.

When food has a lot of amino acids, the Maillard reaction comes out more strongly. That means you can actually visually recognize the umami in the food as long as it’s properly fermented. The darker miso and soy sauce are, the stronger the umami in them is. The same goes with mirin (sweet cooking rice wine). Mirin is made from shochu, (Japanese distilled spirit) mochi rice, and kome koji (rice malt). Mochi rice has protein, which gets broken down and becomes amino acids, causing the Maillard reaction.

Regular vinegar is made from white rice, and it doesn’t cause the Maillard reaction because white rice only contains starches. Black vinegar on the other hand is made from brown rice so it does causes the Maillard reaction. That’s why it is black.

The Maillard reaction is also what makes natto brown. Different soy products require soy to go through different processes. Typically there is the immersion process where you immerse soy in water, and then there is the steaming/boiling process where you add heat to the soy. If you want to make white miso, you don’t want the Maillard reaction. So, you need to extend the immersion process to about 16 hours in order for all soluble protein of the soy to come out to the water and then boil. Now the Maillard reaction will happen only to the soup, but not to the miso made from the soy. This is how you make white miso.  If you want to make dark miso, you can shorten the immersion down to three hours and steam the soy for about twenty hours. This way you can have the Maillard reaction and the soy turns brown. With this you can make dark miso.

Chopped natto is always light-toned, right? That’s because they chop dried soybeans before they immerse them in water to let go of their proteins. Thus, no Maillard reaction, and white natto. But if you compare regular natto with chopped natto, chopped natto has much less nutrients.

 

Interview : Mr.Fushiki

 

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———“What does fermented food mean to you, Mr. Fushiki?”

To Japanese people, I believe that fermentation is the symbiosis between humans and microorganisms. I think in fermented food you can include food seasoned with certain fermented ingredients, too. The very essence of fermented food is to have microorganisms break down ingredients ahead of time before you cook them, or in some recipes the fermented ingredients are offered as is.

 

 

 

———“When people hear the word fermentation, they think of fermented seasonings such as miso and soy sauce, or fermented ingredients such as natto (fermented soybeans) and umeboshi (pickled plum). When you say fermented food, however, can I think of it as something like food marinated in miso or soy sauce?”

*Miso … salty, fermented soybean paste used for soup, spread, pickling, etc.

That’s right. But the important point here is that the marinating liquid has to contain microorganisms that have enzymes with the ability to break down ingredients. If you marinate ingredients in liquid without them, it might help you preserve food longer, but it is not fermentation. By marinating with liquid with decomposing enzymes, for example, proteins are broken down into amino acids, starches are broken down into glucose, or fats are broken down into fatty acids.  Microorganisms break down ingredients into smaller molecules. Then we eat the food. Now this is fermented food.

This process of decomposing will not happen if you use general miso or soy sauce that you buy at supermarkets, because they typically contain no enzymes or microorganisms. Microorganisms are decomposers, and they decompose things using enzymes that are made of proteins so they can live. We use this to our benefit.
If you marinate food with miso that has active fermentation going on, proteins and fats in the food will be decomposed.  Now, if you eat food that didn’t go through this such as regular grilled salmon, you will have to do the decomposing of all these things yourself in your body. With fermented food, it is all done ahead of time, so it’s energy efficient and very good for you.

Also, it’s hard for the decomposed ingredients to accumulate in your body because they are now smaller molecules. If you can’t properly break down proteins and fats in your body, it can lead to modern-day illnesses such as allergies and atopic eczema. With fermented food, proteins and fats are broken down in advance, so it’s very good for you. Children with wheat allergy can eat Hishio or wheat miso and have no allergic reaction.

Fermented food is different from rotten food and it poses no harm to human body, but if the fermentation is overdone, you wouldn’t want to taste it. My restaurant has 51-year-old miso. Of course it’s edible, but it smells like a horse stable. It’s like maturation of wine.

If left unattended, alcohol turns into vinegar. Without salt in it, acetic acid bacteria will grow and turn the alcohol into vinegar. Distilled alcohol never turns into vinegar. If acetic acid bacteria are added to wine, it will become wine vinegar, and eventually after a while it will become balsamic vinegar. Japanese sake with acetic acid bacteria will become rice vinegar. Apple cider with the same bacteria will become apple vinegar. You can grow acetic acid bacteria in beer but it doesn’t taste good, so I don’t do that.

The amino acids from decomposed protein contain umami; if the protein is plant-based you get glutamic acid, with animal-based protein you get inosinic acid, and from fungi you get guanylic acid. These are the three major umami ingredients, and the microorganism that can generate them exists basically only in Japan. It’s a mold called koji. (aspergillus)

 

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———“I understand before you focused on fermented food you used to cook mainly Italian and Japanese. What made you decide to work with fermented food?“

It was actually a son of a miso storehouse who gave me his amazake and hishio. As soon as I tasted them, I intuitively knew it would taste great if I marinated salmon in them. When I tried that idea, it tasted much better than I had expected. This caught me by surprise because, as a chef with over two decades of experience, I thought my guesses were pretty good when it comes to taste, but this time my guess was off. Then I started researching and found out about various roles microorganisms and enzymes play.

Before that, when I heard the word enzyme all I could think of was laundry detergents. As I studied more about this, I came to the conclusion that miso and soy sauce are living things. I was quite embarrassed as a professional chef, by how I always thought they were nothing more than ordinary condiments you could get from stores.

Then I realized there must be a lot of chefs who don’t know about this in Japan. Currently my students have been mainly housewives, but my biggest aspiration is to teach other professional chefs about this. I wanted to get them to revisit the important basics. That’s what I had in mind when I first started.